『ママ、笑っていてね ガンと向き合い、命を見つめた娘の贈り物 』猿渡瞳、猿渡直美



ママ、笑っていてね ガンと向き合い、命を見つめた娘の贈り物


 今は亡き猿渡瞳ちゃんの3冊目の著作。


 弁論大会で発表した以下の作文は、既に中学の教科書にも採用されている――

「命を見つめて」(全文) 大牟田市立田隈中2年 猿渡瞳さん

本当の幸せは「今、生きている」ということ


 みなさん、みなさんは本当の幸せって何だといますか。実は、幸せが私たちの一番身近にあることを病気になったおかげで知ることができました。それは、地位でも、誉でも、お金でもなく「今、生きている」ということなんです。


 私は小学6年生の時に骨肉腫という骨のガンが発見され、約1年半に及ぶ闘病生活を送りました。この時医者に、病気に負ければ命がないと言われ、右足も太ももから切断しなければならないと厳しい宣告を受けました。初めは、とてもショックでしたが、必ず勝ってみせると決し希望だけを胸に真っ向から病気と闘ってきました。その結果、病気に打ち勝ち右足も手術はしましたが残すことができたのです。


 しかし、この闘病生活の間に一緒に病気と闘ってきた15人の大切な仲間が次から次に亡くなっていきました。小さな赤ちゃんから、おじちゃんおばちゃんまで年齢も病気もさまざまです。厳しい治療とあらゆる検査の連続でも体もボロボロになりながら、私たちは生き続けるために必死に闘ってきました。


 しかし、あまりにも現実は厳しく、みんな一瞬にして亡くなっていかれ、生き続けることがこれほど困で、これほど偉大なものかということをい知らされました。みんないつの日か、元気になっている自分をい描きながら、どんなにしくても目標に向かって明るく元気にがんばっていました。


 それなのに生き続けることができなくて、どれほど悔しかったことでしょう。私がはっきりじたのは、病気と闘っている人たちが誰よりも一番輝いていたということです。そして健康な体で学校に通ったり、家族や友達とあたり前のように毎日を過ごせるということが、どれほど幸せなことかということです。


 たとえ、どんなに困な壁にぶつかって悩んだり、しんだりしたとしても命さえあれば必ず前に進んで行けるんです。生きたくても生きられなかったたくさんの仲間が命をかけて教えてくれた大切なメッセージを、世界中の人々に伝えていくことが私の使命だとっています。


 今の世の中、人と人が殺し合う戦争や、平気で人の命を奪う事件、そしていじめにした自殺など、悲しいニュースを見る度に怒りの気持ちでいっぱいになります。一体どれだけの人がそれらのニュースに対して真剣に向き合っているのでしょうか。


 私の大好きな詩人の言葉の中に「今の社会のほとんどの問題で悪に対して『自分には関係ない』と言う人が多くなっている。自分の身にふりかからない限り見て見ぬふりをする。それが実は、悪を応援することになる。私には関係ないというのは楽かもしれないが、一番人間をダメにさせていく。自分の人間らしさが削られどんどん消えていってしまう。それを自覚しないと悪を平気で許す無気力な人間になってしまう」と書いてありました。


 本当にその通りだといます。どんなに小さな悪に対しても、決して許してはいけないのです。そこから悪がエスカレートしていくのです。今の現実がそれです。命を軽く考えている人たちに、病気と闘っている人たちの姿を見てもらいたいです。そしてどれだけ命が尊いかということを知ってもらいたいです。


 みなさん、私たち人間はいつどうなるかなんて誰にも分からないんです。だからこそ、一日一日がとても大切なんです。病気になったおかげで生きていく上で一番大切なことを知ることができました。今ではから病気に謝しています。私は自分の使命を果たすため、亡くなったみんなの分まで精いっぱい生きていきます。みなさんも、今生きていることに謝して悔いのない人生を送ってください。


 2ヶ後に他界。瞳ちゃんは見事に生ききった。立派に使命を果たした。合掌。


 猿渡瞳ちゃんの命懸けの叫びを澄ませろ。