正月に見ておきたい映画


英雄 HEROチャン・イーモウ監督/ジェット・リートニー・レオン
【中国版「立正安国論」】


ブレイブハートメル・ギブソン監督/ソフィー・マルソー
【「自由」はかくも熾烈な闘争によって獲得される】


スパルタカススタンリー・キューブリック監督/カーク・ダグラス、ローレンス・オリビエ
【奴隷は自由を求めて立ち上がった】


遠い夜明け』リチャード・アッテンポロー監督/ジョゼット・シモン、ユアニタ・ウオーターマン
アフリカの人権は揺れるトラックの中で死んだ】


ホテル・ルワンダテリー・ジョージ監督/ドン・チードルソフィー・オコネドー
【つい10年ほど前に我々の住む世界で起こった現実】


アイ・アム・デビッドポール・フェイグ監督/ベン・ティバー、ジョーン・プロウライト
デンマーク版「母をたずねて三千里」】


ターミネーター 2ジェームズ・キャメロン監督/アーノルド・シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトン
時間軸を逆転させた地涌の菩薩


マトリックス』アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー監督/キアヌ・リーブスローレンス・フィッシュバーン
空仮中の三諦が理解できる】


トゥルーマン・ショーピーター・ウィアー監督/ジム・キャリーエド・ハリス
【お膳立てされた人生を拒否】


es[エス]』オリバー・ヒルツェヴィゲル監督/モーリッツ・ブライプトロイクリスティアン・ベッケル
【閉ざされた空間が人間をして狂気に走らせる】


善き人のためのソナタフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督/ウルリッヒ・ミューエ、セバスチャン・コッホ
【小さな善が人を救う】


ドク・ソルジャー 白い戦場ハワード・ドイッチ監督/レイ・リオッタキーファー・サザーランド
【権力と戦う痛快なドラマ】


ダンサー・イン・ザ・ダークラース・フォン・トリアー監督/ビョークカトリーヌ・ドヌーブ
【人生はかくも不条理】


ドッグヴィルラース・フォン・トリアー監督/ニコール・キッドマンポール・ベタニー
【人間の醜悪さを描いた傑作】


パッションメル・ギブソン監督/ジム・カヴィーゼルモニカ・ベルッチ
【イエスに振るわれるスローモーションの鞭】


さらば、わが愛 覇王別姫チェン・カイコー監督/レスリー・チャンチャン・フォンイー
【訓練とは、成功とは、友情とは】


變臉 この櫂に手をそえてウー・ティエンミン監督/チュウ・シュイ、チョウ・レンイン
【少女の求道が老人のを溶かす】


グリーンマイルフランク・ダラボン監督/トム・ハンクスデヴィッド・モース
地涌の菩薩悩が描かれている】


ペイ・フォワード』ミミ・レダー監督/ハーレイ・ジョエル・オスメントケビン・スペイシー
【五十展転の功徳


ウォルター少年と、夏の休日』ティム・マッキャンリーズ監督/ハーレイ・ジョエル・オスメントロバート・デュヴァル
【壮年部はかくあるべし】

永遠に関する考察


 っていうのは真っ赤な嘘。考察なんかしてないよ。本を読んで少しばかり閃(ひらめ)いただけの話だ。かようにして人は自分を飾り立てる。


 失礼。明けましておめでとうございます。謹んで新年のお慶びを申し上げます。牙会の諸君には「賀正」と言っておこう。年越しは蕎麦を食べることもなく、伊予柑いよかん)を三つ食べた。「イヨカンテの夜」だ。


 では早速問題だ――

 次のような三つの文章ないし質問を順に見て、それに「イエス」と答えるべきか「ノー」と答えるべきか、について考えていただきたい。


 1.この私が死んだ後も、

時間は流れ続ける(または時は刻み続ける)か?……yes/no
 2.すべての人間(人類全体)が死に絶えた後も、
時間は流れ続ける(または時は刻み続ける)か?……yes/no
 3.宇宙がすべて消滅した後も、
時間は流れ続ける(または時は刻み続ける)か?……yes/no


【『死生観を問いなおす』広井良典ちくま新書)以下同】


「馬鹿言っちゃいけないよ」とった人も、3で考え込んでしまったことだろう。2だって、結構しい。


 これは非常に巧みな質問だ。我々は通常、「ものごとの変化」によって時間の経過を知る。そもそも時計が刻む時間は絶対的なものではない。それが証拠に、今日は普段よりも1秒長いのだ(閏〈うるう〉秒)。


 とすれば、「宇宙が消滅した後」に時間は存在しない。だって、「変化するもの」が何もないんだから計測のしようがない。


 ここで簡単な例えを出そう。真っ暗闇で音も聞こえない場所に人を閉じ込めれば、たちどころに時間覚は狂ってゆく。体温と同じ温度の風呂に入れれば、もっと完璧だ。


 つまり、だ。時間は「観測者によって」計られているということだ。これが三つの質問の基底となっている。


「観測者」といえば、アインシュタインの相対理論である。近代物理学の祖ニュートンは「時間と空間」を絶対的なものと定した。だが、これをアインシュタインが台無しにしたのだ。相対理論によれば、重力が空間を歪め、加速度が時間を歪める。その上、重力と加速度は等価であるというのだ。わかりやすく言えば、ブラックホールでは宇宙空間よりも時間がゆっくり進んでいる。また、光と同じスピードを出す車があったとすると、観測者からは、車内の時間は遅い上、車内の物まで縮んで見える。これは実際にも起こっていて、飛行機に乗って長距離を移動すれば数千億分の1秒は若くなり、160kmで投げられた野球のボールはホームプレートにたどり着くまでに0.000000000002グラム質量を増すと計算されている(ビル・ブライソン著『人類が知っていることすべての短い歴史NHK出版)。


 結局こうした事実が示しているのは、時間という概が観測者の主観によって支えられていることだ。だから、観測者がいなければ時間は存在しないってことになる。


 著者の広井良典氏は、

「永遠」というテーマは、そのまま「死」というものをどう理解するかということと直結する主題である。


 として、キリスト教と教で説かれる永遠の違いを考察し、吃驚仰天(びっくりぎょうてん)の結論を導き出している。発が図抜けている。


 本来であれば、こういう研究は東洋哲学研究所あたりから出てもらいたいとうのだが、宗教団体というヒモがついているから自由にできないのかもね。


 私に絶大な権力があれば、「苫米地英人宮台真司宮崎哲弥」vs「友岡雅弥、宮川美法、前谷秀学」という超豪華座談会を動画で配信するところだ。


 それにしても昨今の、脳科学量子力学、数学の進歩は凄い。教理論が対抗し得るのかどうかが配になってくるほどだ。


死生観を問いなおす (ちくま新書)