弔問


 昨日、ご主人を亡くしたばかりの婦人を訪ねる。葬儀は、お子さんに頼んで静岡で行ったため、地区にて追善勤行会をしたい旨、私から申し出た。


「本当にありがたいんですが、まだ主人が亡くなった実が湧かないんです。ひょいと帰ってきそうな気がしてなりません。結婚して50年経ちましたが、まさかこんな時が来るとは夢にもいませんでした。今まで、他の人の伴侶が亡くなった時には、『ああ、気の毒だなあ』とってきましたが、実際に自分が経験すると、他の方には理解できない境です。実は、今でも動揺しております。区切りをつけられてしまうと、主人が亡くなったことを認めるようで、申しわけない限りですが、それだけは勘弁してやって下さい」


 民衆の偉大なる人間学を、私は教わった。




 昨夜、壮年の人材グループの勉強会。一年間の訓練もこれが最後の会合となった。登壇者は総勢20余り。傑出した会合の内容であった。


 数年間の退転の後、同志からの真の激励によって再起した行政書士。青年部の先駆によって5世帯の弘教を達成し、更にもう1世帯の折伏を目指す地区部長。3年前に肝臓癌となり、毎年、数ヶ間入院するも、給料は通常通りに支払われ、今年のボーナスは過去最高額となった体験談。この方、50日間の入院を経て、医師からは「もう駄目かもしれない」と言われる中、遂に病巣から癌細胞が消え去り、勇んで会合に馳せ参じた。また、初老の地区幹部は、国士10万の集いに参加するもその後、退転。長年、連れ添った妻君がパーキンソン病となり再び発。先日、パーキンソン病が完治したと、謝と共に烈々たる決を披瀝。


 登壇者の熱弁によって、担当幹部の時間は殆どなくなってしまった(笑)。最大の原因は、持ち時間が5分であるにも関わらず、15分も話してしまった私に罪がある(笑)。いやはや驚くべき会合であった。


 帰宅後、この会合の勝因を考えた。一人のメンバーが真剣に語り抜いた時、そのが登壇者のに次々と火をつけた。その叫びが連鎖し、触発され、期せずして、地涌の眷属が陸続と躍り出るような場面と化したのだ。


 この日の会合を、言葉で伝えることは不可能だ。あの場に居合わせたメンバーしか知り得ない確かな魂の触れ合いがあった。