感動とは“自己拡大の確かな実感”

 詩歌であれ、絵画であれ、音楽であれ、我々が珠玉の芸術作品に触れた時の、あの動を一言にしていえば、あたかも我が胸中の泉に共の波動が幾重にも広がり、精妙なリズムの促すまま、はるか天空へ飛翔しゆくかのごとき生命の充足であり、これこそ自己拡大の確かな実であります。
 有限なるものは無限なるものへと、また体験の個別は、「味論的宇宙」ともいうべき普遍の世界へと開示されていく。そこに芸術特有の「結合の力」の生き生きとした発動があると私はみたいのであります。


【「東西における芸術と精神」 1989-06-14 パリ、フランス学士院会議場】


 フランスは文化の宗主国。「フランス人はイギリス人を猿だとい、そのイギリス人が日本人のことを猿だと考えている」なあんて話がある。ヨーロッパがアジアを蔑視する覚は、長い時代によって形成されたもので、そう簡単に引っくり返すことはしい。


で勝負する」――こう言われて、先生は講演に臨まれた。値踏みするような視線にさらされて始まった講演は、万雷の拍手によって幕を下ろした。

「フランス学士院芸術アカデミーでの講演は、偉大な反響を広げています。その後、数人の友人と語り合いましたが、皆、強い銘を受けていました」


【ルネ・ユイグ氏(美術史家)1989-06-19】

「私は、理と討論を重んずる西洋人の一人です。SGI会長の講演も、むしろ批判的な“”で聴いていたつもりです(笑い)。が、聴き終え、深い動と共を禁じ得ませんでした。あえて言うならば、SGI会長は人類における哲学の代表であり、精神界の代表です。しかも、民間人として世界を舞台に『行動』に徹しておられる。例えば、第三世界には民の子供たちに象徴されるような、極端な貧困と悲惨があるが、それに対してもSGI会長は、素晴らしい人道上の貢献をされている。そうした事実にから敬を表すために、今日、私はやって来ました」


【ガブリエル・ペロネ会長(フランス国連協会)1989-06-20】


 ペロネ会長との会談は予定されていたわけではなく、講演に銘したペロネ会長からの希望を受けて実現したもの。


 芸術がもつ「結合の力」を「結縁の力」に置き換えて縁起論を展開。その関係は、空間的要素だけではなく、時間的要素をも含んだもので、法の多次元的な捉え方を示した。更に、「空の概」から一三千のアウトラインを紹介。法華経の芸術を宣揚した上で、菩薩道の生き方に言及した。


 短時間の講演で、これほどの内容が盛り込まれている。“蝶のように舞い、蜂のように刺す”その様は、モハメド・アリの如し。


 快動は異なる。快は一時的なもので、個人的な欲求しか満たすことができない。動には、作者との対話と魂の交流がある。動は、“よりよき人生”へと向かわしめる確かな力がある。天界と聞界・縁覚界の違いか。


 折りしも、東京富士美術館では「栄光の大ナポレオン展」が開催されている。芸術の秋、現代史の巨人と語り合ってはいかが?