「ものの見方」について


 視覚に関する研究が進んでいる。我々は世界を「ありのまま」に見ているとい込んでいるが、実際はそうでもないらしい。簡単に言えば、バラバラになったジグソーパズルを脳で統合し直していることが明らかになってきた。例えば、上下が逆さまに見える眼鏡を掛けたとしよう。すると、1週間も経てばこの人はまったく普通に生活ができるようになるという(『海馬 脳は疲れない池谷裕二糸井重里)。


 ご存じのように右目の右横と左目の左横には盲点がある。我々は片目をつぶってもそれを自覚できない。脳が補ってしまうためだ。また、視野は人によっても範囲が異なる。一流のサッカー選手になると、ボールを追いながらも敵味方の殆どが見えている。それとは反対に、交通事故を起こしやすい人は視野が狭いと言えよう。こうしたことを考えると、「実際に見えている」というよりも、「周囲の動きを像しながら先を読んでいる」ことが理解できる。


字の言」に対抗しようと目論んだが、予以上に前置きが長くなってしまった。やっぱり、いつもの調子で行くことにしよう。


「ものを見る」というのは考力であり、「ものが見える」というのは境涯であろう。「ものの見方」は目に映じたものを捉え直すことができるかどうかが問われる。見たままで判断する人は、ただの錯覚野郎だ。もちろん、そいつの目は節穴だ。


 なぜなら、「眼はむき出しになった脳の一部」(『共感覚者の驚くべき日常 形を味わう人、色を聴く人』リチャード・E・シトーウィック)であり、「能動的な仮定」(『脳は美をいかに感じるか ピカソやモネが見た世界セミール・ゼキ)であり、「世界を見るために目ができたわけではなく、目があるからこそ世界は味を持った」(『進化しすぎた脳 中高生と語る〔大脳生理学〕の最前線池谷裕二)と考えられているからだ。


 では、本題に入ろう。次の文章が説明不足である点を挙げなさい――

  • 暑くて汗が止まらない。
  • 寒くて身体が震え始めた。
  • 風邪をひいて高熱となった。

 時間は1分だ。これ以下は、ちゃんと考えてから読むんだよ。って書いてもムダなんだよな。だから、答えは最後に書いておく。


 これらの文章は日常生活でよく使われている言葉である。ところが実際の味は違っているのだ。それを知っているかどうかが問題なんだよ。


 善悪はもっと複雑だ。多くの場合、相手の行為や言動に善があるか悪があるかで判断される。これがそもそも間違いのもとだ。そんなレベルで世間を渡って行けるとったら大間違いだ。そんな野郎は、一日一歩、三日で三歩、三歩進んで五歩下がるような人生しか歩めないことだろう。汝のを「五っ歩(ゴッホ)」とづけておこう。


「ものの本質」を見抜くためには、目的と味を素早く読み解く能力が必要となる。私が提唱する「組織利用の3秒ルール」には、そういう味が込められている。


 振り込め詐欺なら、金をふんだくられるだけで済む。だが、「組織利用」に巻き込まれると、信までが破壊されてしまう。


 というわけで、答えだ――

  • 汗が出るのは気化熱によって身体を冷ますため。
  • 身体が震えるのは体温を上げるため。
  • 熱が上がるのは体内で病原菌を殺すため。