25歳の女性に贈る一冊


 山口絵理子は小学生時代、いじめに遭った。6年間、給食を食べることができなかった。中学生となり非行に走った。高校時代は柔道に挑戦。埼玉県で優勝し全国7位に輝いた。偏差値40の工高校から慶応大学に進学。カナダへ留学した際に鬱病となった。在学中にラテンアメリカ向けの援助や融資を行う米州開発銀行で働く機会を得た。だがそこは、国際貢献とはばかりで発展途上国現場から懸け離れていた。インターネットで「アジア 最貧国」と検索。現れたのはバングラデシュという国だった。彼女は1週間後に航空券を手配した。大学の卒が迫った。バングラデシュの大学院に進学した。そして、バングラデシュの特産品であるジュート(麻)でバッグを作った。こうして「マザーハウス」の社長となった。そんじょそこいらに転がっているサクセスストーリー(成功物語)ではない。泣きながら全力疾走し続ける乙女の見事な半生記だ。25歳の日本人女性がたった一人でバングラデシュを豊かにしようと奮闘している。

 バングラデシュと見てきた現実の中で自分の人生に最も影響を与えたものは、明日に向かって必死に生きる人たちの姿だった。
 食べ物が十分でない、きれいな服もない、家族もいない、約束された将来もない。そして生活はいつも政治により阻害され、きれいな水を飲むにも何キロも歩かなければならない。そんな人たちが毎日必死に生きていた。


 ただ生きるために、生きていた。


 そんな姿を毎日見ていたら、バングラデシュの人が自分に問いかけているような気がした。
「君はなんでそんなに幸せな環境にいるのに、やりたいことをやらないんだ?」って。


【『裸でも生きる 25歳女家の号泣戦記』山口絵理子(講談社、2007年)】


裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ)