随他意

 それゆえ何よりも大切なことは、羊の群のように、先を行く群の後に付いて行くような真似はしないことである。そんなことでは、進むべき道を歩んで行くことにはならず、単に誰もが進んでいく道を歩むにすぎない。ところで、われわれを害悪に巻き込むことの最も甚だしいのは、多数者の賛成によって承認されたことを最善と考えて世論に同調することであり、また沢山のことをわれわれの先例として、道理に従って生きるのではなく模倣に従って生きることである。その結果、人々の倒れた上にまた他の人々が倒れて、これらの者たちの重なった大きな山ができるのである。


【『人生の短さについて』セネカ/茂手木元蔵〈もてぎ・もとぞう〉訳(岩波文庫1980年)】


人生の短さについて 生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)
(※左が茂手木元蔵訳、右が大西英文訳)