権威の一般定義

 したがって、
     【権威の一般定義】
を探すことにしよう。
 権威は、運動、変化、行為(現実的な、あるいは少なくとも可能な行為)があるところにのみ、存在する。権威は、権威を代表する(権威を「受肉する」、権威を実現する、権威を行使する)物または人の動きに応じて「反応する」、すなわち、変化することができるものに対してのみ、存在する。そして自明のことだが、権威は、変化を被る者にではなく変化を引き起こす者に属する。つまり、権威は、本質的に【能動的】であって受動的ではない。
 したがって、あらゆる権威の現実的な「担い手」は必然的に、語の厳密で強い意味において【行為者】、すなわち、【自由】であり【意識的】であると見なされる行為者であると言えよう(だから、それは神的存在や人間的存在であっても、けっして動物としての動物やそれに類似したものではない)。


 注記。たしかに権威的行為は必ずしも【自発的】ではない。他人の命令を実行しながら権威をもつことは可能だからである。だが、権威を帯びた行為者は、この命令を【理解】し、その命令を【自由に】受け入れると見なされている。指導者の言葉を伝える蓄音器は、それ自体ではいかなる権威ももたない。


 したがって、権威を帯びる存在は必然的に【行為者】であり、権威的行為はつねに真の【行為】(意識的で自由な行為)である。


【『権威の概念』アレクサンドル・コジェーヴ/今村真介訳(法政大学出版局、2010年)】


権威の概念 (叢書・ウニベルシタス)