周囲の人数が増えるほど同調圧力は高まる

 実験をやってみると、驚くほど多くの人が、サクラの影響を受け、正しくない線分を答えることがわかった。この実験では、なんと35パーセントの誤答率を記録している。単独回答ならば、誤答率は5パーセントの課題である。
 実験中の被験者の様子の記述が残されている。その典型的な様子は次のようなものである。
 最初のサクラが間違えたとき、被験者は「バカな奴だ」という感じで笑っている。サクラの2人目くらいまでは、笑ったりそっくりかえったりしているが、3人目くらいから、まず、目を凝らしてカードを凝視する。それから、課題の内容を確かめようとするように、他の「被験者」(サクラ)の顔を見たり、実験者に、こと問いたげ(ママ)な視線を送ったりする。4人目、5人目では、あきらかに不安な表情や苛立ちを様子に表す。そして自分の番となると、サクラたちと同じ答えをするようになるのである。


【『無責任の構造』岡本浩一〈おかもと・こういち〉(PHP新書2001年)】


無責任の構造―モラル・ハザードへの知的戦略 (PHP新書 (141))