解脱と救済〜密教との関連性

三枝●むしろ仏教自身が、解脱ひとすじの宗教でも、また救済ひとすじの宗教でもない。いわば解脱と救済という二つのテーマを持っていた。そのテーマを追っていって最後に密教がその二つについてある解決をあたえて、そこでもう終り、すでにすべて解決してしまったと安堵しちゃった時に、全部密教で片づいたとしてしまえば、ずっとそのまま、移り伝わるでしょう。しかし、その中から、またあるインパクトがあふれ出て、その中で解脱のほうに重点を置くと、たとえば、禅になるし、救済のほうに傾けば、浄土真宗のようなものになる、両方一緒にすると、日本の密教のようなかたちになる。そういうものが、日本では混在してあります。インドの場合には、そういう三つの姿のあとは、活力がうすれて行き場が無くなったように見えます。


【『仏教と精神分析三枝充悳〈さいぐさ・みつよし〉、岸田秀〈きしだ・しゅう〉(小学館1982年/第三文明レグルス文庫、1997年)】


仏教と精神分析 (レグルス文庫)