モンティ・ホール問題に対する反応

 おおぜいのひとが雑誌に手紙を出して、マリリン・フォス・サバントはまちがっているといってきた、彼女がなぜ自分は正しいか、とてもていねいに説明したにもかかわらず、その問題(※モンティ・ホール問題)について彼女のところに送られた手紙の92パーセントは、彼女はまちがっているというもので、その手紙の多くは数学者や科学者からのものだった、ここに彼らの意見の一部をのせる。

 わたしは一般大衆の数学能力の欠如を非常に憂慮するものである。あなたの誤りを公表して事態を改善して下さい。
【ロバート・サックス博士、ジョージ・メイソン大学】


 わが国には数学に無知な人間がおおぜいいる。このうえ世界最高のIQの保持者まで無知であることを世界に知らしめる必要はない。恥を知りたまえ!
スコット・スミス博士、フロリダ大学


 すくなくとも3人の数学者に指摘されたにもかかわらず、自分の誤りに気づかないとはなんたることか。
【ケント・フォード、ディキンソン州立大学】


 あなたは高校生や大学生からたくさんの手紙を受け取ったことと思う。そのうちのいくつかの住所を書きとめておかれてはいかがでしょう。今後、コラムを書く際には彼らの助けが必要になるかもしれませんから。
【W・ロバート・スミス博士、ジョージア州立大学】


 あなたはぜったいにまちがっている……あなたの心を変えさせるのにいったい何人の怒れる数学者が必要なのでしょうか?
【E・レイ・ボボ博士、ジョージタウン大学】


 もしこれらの博士たちがみなまちがっているなどということがあるなら、この国に未来はないであろう。
【エベレット・ハーマン博士、アメリカ陸軍研究所】


 しかしマリリン・フォス・サバントは正しかったのです。そしてそのことを示すには二つの方法がある。


【『夜中に犬に起こった奇妙な事件』マーク・ハッドン/小尾芙佐訳(早川書房2003年/新書版、2007年)】


 自閉症を主人公にした物語でエリザベス・ムーン著『くらやみの速さはどれくらい』と双璧を成す作品。一人称で語られており、自閉症の眼差しを経験することができる。世界一のIQの持ち主であっても、これほどの非にさらされる。反証可能性をもつ科学の世界において、反証自体を誤る場合があるという好例。宗教世界は反証不可能な仮説であるがゆえに、誤りは桁違いに多くなる。だからこそ科学的態度が求められるのだ。



夜中に犬に起こった奇妙な事件