マルクスの時代には10歳にも満たない少年が労働にかりだされることが日常茶飯事だった

マルクスの根本的な考えは正義です。この理念は人類が存続するかぎり、なくなることはありません。マルクスの時代には10歳にも満たない年少者が労働にかりだされることが日常茶飯事でした。炭鉱の構内で連日働き、日曜だけ地上に出て太陽をおがめるといった子どもたちもいて、『日曜っ子』と呼ばれていました。時を同じくして、上流階級の人々はサロンで文化的な生活をしていました。そのサロンを暖かくした石炭が、子どもたちの過酷な労働によるものだとは上品な紳士淑女は考えもしませんでした。マルクスが目のあたりにしたのは当時のそのような社会状況でした。それを批判したのは正しいことです。マルクスの功績として歴史に残されることです。しかし、それと、なぜ彼の思想がうまくいかなかったのか、ということとは別問題です」


【『エンデの遺言 根源からお金を問うこと』河邑厚徳〈かわむら・あつのり〉、グループ現代(NHK出版、2000年/講談社+α文庫、2011年)】


エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと (講談社プラスアルファ文庫)